交通事故

自動車事故に関する法律知識

自賠法(じばいほう)とは?

交通事故で被害者が、加害者側に損害賠償請求をする場合には、何種類かの方法があります。

それらの方法のうち、人身事故の被害者がもっとも損害賠償請求をしやすい方法が、自賠法3条による運行供用者に対する賠償責任を追及する方法です。

そもそも、「自賠法」とはどのような法律でしょうか?

まず「刑法」では、自動車事故で人にケガをさせると、「故意」の場合は「傷害罪」・「過失」の場合は「過失傷害罪」になります。
・傷害罪は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
・過失傷害罪は、30万円以下の罰金又は科料。
刑法では刑罰を規定していますが、損害賠償については規定されていません。

そこで、先日お話した「民法」を見てみましょう。
「民法」では、人に損害を与えた場合は「不法行為」(709条)として規定されています。
「不法行為」というのは、人から損害を与えられた場合に損害賠償請求権が発生するという制度です。
なので、民法上「不法行為」があったと認められれば、被害者は加害者に対して、民法の大原則「金銭賠償の原則」にのっとって損害賠償を請求することができます。

ただし、「不法行為」を成立させるためには、成立要件を満たす必要があります!!

【不法行為の成立要件】
・加害者に故意・過失があること
・加害者に責任能力があること
・権利の侵害が認められること
・加害行為と損害の間に因果関係が認められること
・損害の発生が認められること
・違法性阻却事由(正当防衛などの事情)がないこと

そしてさらに、過失責任主義を原則としており、これらを証明しなければならないという、立証責任が「被害者」にあります!!
実際に「不法行為」を成立させるのはなかなか厳しく、特に難しいのは「加害者に故意・過失があること」を証明することです。
また、たとえ立証することができ、直接の加害者である運転手に損害賠償請求したとしても、賠償する資力がない場合には、結果的に泣き寝入りをするほかはないということになります。

そこで、自動車事故でケガしたり亡くなってしまった被害者を金銭で救済しようとできたのが、「自賠責保険を規定する自賠法」です。

自賠法(じばいほう)とは、自動車損害賠償保障法を略したもので、自動車事故によって他人を死傷させた場合の賠償責任について定めた、「民法」を補って被害者救済をめざす法律です。

※「民法」は一般的な市民社会のルールを規定しているので「一般法」と呼ばれ、「自賠法」は特に自動車事故で人身に損害を与えた場合に限って適用されるルールを定めているので「特別法」と呼ばれています。
(基本的な内容を定めた「一般法」よりも、特別な場合に適用される内容を定めた「特別法」が優先する)

「自賠法」は、自動車の人身事故についての責任を強化し、損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護をはかり、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的として、1955年に制定されました。

自賠法では、「自賠責保険の制定」と、政府による保険制度として「自動車損害賠償保障事業制度の制定」が規定されています。

<自賠責保険の制定>

運転者に強制的に保険に加入させるという制度

※自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは
・自動車・バイク・原付を使用する際に強制的に加入が義務付けられている損害賠償保険。
・自賠責保険契約に未加入、または有効期限切れで車を運行すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
・違反点数は6点(免許停止)
・「自賠責保険証明書」を車に備え付けていなかったら、30万円以下の罰金。
・自賠責保険に加入していない状態で事故を起こした場合には、すべての損害賠償は加害者負担。

<自動車損害賠償保障事業制度の制定>

加害者が自賠責保険に未加入の車や盗難車、またはひき逃げなど加害者が不明な人身事故の場合、加害者に代わり政府が賠償金を支払い被害者を救済する制度。

※政府による保障事業制度は、基本的に自賠責保険とほぼ同様の保障内容となっていますが、いくつか異なる事項があるので注意が必要です!!
(相違点)
・保障金の支払時期が遅い
・仮渡金や内払金の請求ができない
・保険のきかない自由診療は、治療費の一部しか支払われない
・時効の中断はありません

「自賠責保険」は、
民法による交通事故被害者の救済が充分でなかったところから制定され、
今日に至るまで
被害者の救済と契約者保護をより一層推し進めるため
30数回にわたり制度の改正がされてきています。

次は、自賠法3条による運行供用者に対する賠償責任を追及する方法が、なぜ人身事故の被害者がもっとも損害賠償請求をしやすい方法であるかを具体的に見て行きましょう。

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